これまでに行われた在外選挙では、衆議院及び参議院ともに比例代表選出議員選挙に限定されていたが、平成18年(2006年)の公職選挙法の一部改正により、平成19年(2007年)6月1日以降に行われた国政選挙から、衆議院小選挙区選出議員選挙、参議院選挙区選出議員選挙と、これらに係わる補欠選挙及び再選挙についても投票できるようになった。
海外で投票を行うためには、あらかじめ在外選挙人名簿への登録が必要。登録申請の手続きは大使館で受け付けている。受け付けられた申請書は、申請者の日本国内の最終住所地(または本籍地)の市区町村選挙管理委員会に送付され、登録資格が満たされていれば在外選挙人名簿に登録の上、在外選挙人証が発行され、在外公館経由で申請者の方に交付される。この手続きには約2ヶ月かかる。
<在外選挙人名簿登録申請の流れ(概略)>
1.転出届(これから海外生活を始める方へ)
日本国内にお住まいの満20歳以上の日本国民で、住所地の市区町村において住民票を作成してから引き続き3ヶ月以上居住している方は、市区町村選挙管理委員会により国内の選挙人名簿に登録されている。
海外に転出し在外選挙人名簿への登録を希望する方は、市区町村役場に転出届を行っう。転出届を行わないと引き続き国内の選挙人名簿に登録されているため、在外選挙人名簿への登録は行えない。
転出届についての詳細は、現在お住まいの市区町村役場にお問い合わせを。
2.在留届の提出
旅券法第16条により、海外に住所又は居所を定め3ヶ月以上滞在する日本人は、その地域を管轄する在外公館に「在留届」を提出する必要がある。
なお、3ヶ月以上前に在留届を提出済みの方は、在外選挙人名簿の登録申請に際し、在外公館の選挙管轄区域内に引き続き3ヶ月以上居住していることを証明する書類の提示は免除される。
在留届の詳細及び在留届用紙のダウンロードについては、≪在留届≫を参照のこと。
3.在外選挙人名簿の登録申請
(1)登録資格
(ア)満20歳以上の日本国民であること。
(イ)海外に3ヶ月以上継続居住していること。
住所を選挙管轄している在外公館の管轄区域内に引き続き3ヶ月以上お住まいの方。な お、平成19年(2007年)1月1日から、3ヶ月未満の時期でも申請できるようになり、在留届を在外公館の窓口へ提出する際に一緒に行うことができる。
(ウ)在外選挙人名簿に未登録であること。
日本国内の最終住所地の市区町村に転出届が未提出の方は、国内の選挙人名簿に登録されているため、在外選挙人名簿への登録は行えない。
※国籍について
日本の国籍を有する重国籍者も被登録資格があるが、日本国民が自己の志望によって外国の国籍を取得した場合又は外国の国籍も有する日本国民で、その国の国籍を選択をした場合は、本人からの届出がなく日本の戸籍簿から除籍されていなくとも、日本の国籍法の規定により日本国籍を失うこととなっている(国籍法第11条)。したがって、この場合には、在外選挙人名簿登録の資格はないことになる。
(2)在外選挙人名簿の登録地
在外選挙人名簿の登録申請先となる市区町村選管は次の通り。
・平成6年(1994年)5月1日以降に日本を出国した方 ・・・ 最終住所地
・平成6年(1994年)4月30日以前に日本を出国し、その後日本国内に居住していない方
(出国後、日本国内で住民基本台帳に記録されたことがない場合で、一時帰国は含まない) ・・・ 本籍地
・外国で生まれ日本国内に一度も居住したことがない方 ・・・ 本籍地
(3)申請先
大使館
(4)申請者
本人または登録申請者の同居家族等(在留届に記載されている同居家族等)
※「同居家族等」とは、在留届の氏名の欄に記載された者及び同居家族の欄に記載されている者を指す(登録申請者本人を除く)。
(5)必要書類
(ア)登録申請者本人による申請の場合
(a)在外選挙人名簿登録申請書
※ 申請書は在外公館にある。なお、総務省のウェブサイト(www.soumu.go.jp/senkyo/zaigai6.html)からも入手可能。
(b)旅券等本人確認のための書類
原則として有効な日本国旅券を提示する。ただし、滞在許可の更新のため旅券を居住国政府に提出している等の理由で旅券が手元にない場合は、旅券に代わる身分を証明するものとして別途定める書類を提示することで換えられる(別途定める書類は大使館に照会のこと)。
(c)在外公館の選挙管轄区域内に居住していることを確認できる書類
ⅰ)引き続き3ヶ月以上居住している方
居住を開始した日が、登録申請日より3ヶ月以上前であることが記載されている住所地の家屋の賃貸借契約書、住所地の土地・家屋の購入契約書、滞在許可証、外国人登録証等。ただし、在留届を、管轄の在外公館に3ヶ月以上前に提出済みの場合は不要。
ⅱ)申請時における居住期間が3ヶ月未満の方
住所を定めた日から登録申請日までの間において引き続き住所を有していることを証明する書類。
(注)平成19年(2007年)1月1日から、海外居住期間が3ヶ月未満の時期でも登録申請ができるようになった。在留届を在外公館の窓口へ提出する際などに一緒に行うことができる。申請書は一旦在外公館が預かり、居住期間の3ヶ月経過時に改めて在外公館から所在を確認した上で登録申請先の国内選挙管理委員会あてに送付することになる。
(イ)同居家族等による申請の場合
(a)在外選挙人名簿登録申請書
登録申請書の「署名」の欄に登録申請者本人の署名が必要。
(b)申出書
申出書は同居家族等の方が登録申請者本人から委任を受けているかどうかを確認するものであり、登録申請者本人の署名が必要。
※同居家族等を通じた登録申請を行う場合は、あらかじめ、登録申請者本人がこの「申出書」と「在外選挙人名簿登録申請書」に「署名」をしておくことが必要。このため、申出書及び在外選挙人名簿登録申請書は、あらかじめ在外公館から取り寄せる(総務省のウェブサイト(www.soumu.go.jp/senkyo/zaigai6.html)からダウンロードしたものでもよい。)。
(c)登録申請者本人の日本国旅券
旅券が提示できない場合には、上記(b)に記載した書類。
(d)登録申請者本人に代わって登録申請を行う方自身の日本国旅券
旅券以外の身分証明書は認められない。
(e)在外公館の選挙管轄区域内に居住していることを確認できる書類
ⅰ)申請者が引き続き3ヶ月以上居住している場合
上記(ア)(c)のⅰ)に記載した書類。
ⅱ)申請者の申請時における居住期間が3ヶ月未満の場合
上記(ア)(c)のⅱ)に記載した書類。
(6)申請時における居住期間が3ヶ月未満で申請した場合の登録申請書の記載事項の変更
登録申請日から3ヶ月住所要件を満たす日までの間に、国籍喪失、又は住所変更等により申請内容に変更が生じた場合は、申請者は直ちにその旨を在外選挙人名簿登録申請書記載事項等変更届書により、申請書を提出した在外公館に届け出る必要がある。
※国籍喪失や選挙管轄区域外への転居の届出があった場合は、登録申請は取り下げられたものと見なされる。
(7)在外選挙人証の交付
登録申請書を国内選挙管理委員会あてに送付してから在外選挙人証が交付されるまでには、2ヶ月程度を要します。選挙の直前に申請されても間に合わないので、時間的余裕をもって申請すること。なお、在外選挙人証の交付は、同選挙認証が在外公館に届き次第、在外公館より連絡がいくので在外公館の領事窓口に旅券等身分証明書を持って取りに行く。
(8)在外選挙人証の住所変更・氏名変更
(ア)在外選挙人証に記載されている住所から転居したり、住所以外の送付先を変更した場合は、できるだけ早い機会に在外選挙人証記載事項の変更手続を行うこと。住所変更の手続きを行わないと、郵便投票の投票用紙を請求しても旧住所あてに送付されてしまい、受け取ることができなくなる。
(イ)婚姻等により氏名を変更した場合も同様。この場合、あらかじめ管轄の在外公館に婚姻届を提出しておくとともに、投票時の本人確認に備えて日本国旅券の追記頁に氏名訂正の記載若しくは新規発給の手続を行っておく必要がある。
(ウ)在外選挙人証の記載事項(住所・氏名)を変更する場合は、以下の書類を直接在外公館領事部に提出する。
(a)在外選挙人証(原本)
(b)在外選挙人証記載事項変更届出書(在外公館から入手)
(c)在留届又は提出済みの在留届に関する変更の届出
(d)変更が生じた事実を証する文書等
(9)注意
(ア)一時帰国などで、日本国内で転入届を提出し住民票を作成した場合には、当該作成日から4ヶ月を経過したときに在外選挙人名簿から抹消されることとなっており、抹消後は在外投票はできない。この場合には、在外選挙人証を、交付を受けた市区町村の選挙管理委員会に返却すること。
(イ)なお、住民票作成後に短期間で再び海外に転出した場合でも、日本国内での滞在期間の長短に関係なく、4ヶ月を経過したとき在外選挙人名簿から抹消され、在外選挙人証は無効になるので、海外の住所地に戻られた後改めて在外選挙人名簿への登録申請を行う必要がある。