第3章 子ども

<<子どもの健康>>

子どものかかりやすい病気のうち、圧倒的に多いものとして、風邪、気管支炎などの呼吸器感染症、さまざまな原因による下痢症が多いことは、日本国内もここダッカもあまり変わらない。ダッカで暮らすということで、子どもを連れて赴任されている方たちは不安も強いと思うが、バランスのとれた食事、水、食品に対する注意、よくうがいをする、手をまめに洗うなどの簡単な日常生活上の配慮をすれば、都市部で生活している限り、極端に心配する必要はない。

 

① 赴任前に定期の予防接種を万全にしておくこと。

BCG・ポリオ・DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)・麻疹・流行性耳下腺炎・風疹・水痘までは可能なら受けさせるのが良い。

間に合わなければバンコク、シンガポールで一度に同時接種可能なものもある、調べてみるとよい。その他の予防接種については、保健所で相談してみるのも良い。

② 赴任後は不慮の事故が起こらない様に注意する。

③ 接触する使用人の健康管理には絶えず注意する。

④ 日本で交付を受けた『母子手帳』は、必ず持参する。

また、かかりつけの医師がいれば『病歴要約書』の作成を依頼する。

 

<予防接種>

  • ポリオ

なるべく3回(またはそれ以上)が望ましい。2回だけの接種は日本のみ。諸外国では4~7回が普通。3カ月~4歳までに2回以上。(生後3~18ヶ月が良い。)

  • BCG

結核はバングラデシュではまだ非常に多い病気である。生後2~3カ月から4歳までに1回は必要。初回は1歳未満が良い。生後1カ月から接種できるところもある。アメリカンスクールに入る時に、BCG(ツベルクリン反応)を受けた結果が必要。(7歳・12歳)

  • 三種混合・DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)

期初回 3~12カ月までに、3~8週間隔で3回

期追加 Ⅰ期初回完了後、12~18ヶ月に1

期    12歳時1

  • B型肝炎

生後2カ月から接種可能。

  • おたふくかぜ

生後12カ月から1回。(任意接種)

  • 日本脳炎 

日本脳炎の心配はある。日本では通常3才からの接種だが、生後6カ月から接種可能。

初年度は1~4週間隔で2回、翌年1回。2006年現在、日本では任意接種。バングラデシュに行くと言って、かかりつけ医に相談するとよい。

  • はしか(麻疹) 

12~90カ月までに(標準的には生後12~24カ月)1回接種。1歳になったら、できるだけ早く接種すること。

  • その他、水ぼうそう、風疹、A型肝炎、狂犬病、細菌性髄膜炎、腸チフスなど

可能であれば日本で接種した方が良い。ダッカでも予防接種は可能。

 

(WHO勧告により、発展途上国での接種スケジュールは日本や他の先進国とは違う。)

 

 

 

子どものワクチン接種スケジュ-ルの一例

日本検疫衛生協会(横浜診療所)で“バングラデシュへ渡航する場合”の子どもの予防接種の優先順位を伺ったところ、年齢にもよるが、以下の様な順が良いだろうということ。これが絶対というものでないが、迷った時の参考に。医師と充分に相談した上で接種を実施すること。

  • 乳児の初めての予防接種プラン –17週で終了- (生後3カ月から)

BCG→(4週)→三種混合→(1週)→ポリオ→(4週)→三種混合→(2週)→ポリオ→(4週)→三種混合→(2週)→ポリオ

 

 

<かかりやすい病気>

  • 発熱

熱の出る病気としては、風邪に代表される呼吸器感染症が最も一般的だが、その他の多くの感染症、アレルギ-、脱水、高温環境なども原因となる。

通常は発熱に対して直ちに解熱剤を投与する必要はなく、発熱の自然経過を見ることによって、より正しい診断と治療に役立つこともある。ただ発熱だけではなく、顔色の悪さ、元気のなさ、強い頭痛、腹痛、吐き気を伴うものは、速やかに医師の診察を受けること。1才以下の乳児で、38度以上の高熱、24時間以上続く発熱は解熱剤のみに頼らず、医師の診察を早く受けた方がよい。

デング熱や水痘、インフルエンザでは、アスピリン(バッファリン等)は使用しないこと。アスピリンは小児に使用するとライ症候群をきたすことがある。また、デング熱では血小板が減少しているので、出血傾向をきたすことがある。

  • 下痢

下痢の原因もさまざまだが、大切なことは水分不足(脱水)にならないようにすることと、はじめから強い下痢止めを使わないこと。(医師の診察を受けてから使用するのが無難。)原因は何であれ、全身状態がよく、水分をある程度飲めて尿が1日に4回以上でる場合は、自宅で様子を見ることができる。とにかく水分不足にならないようにすること。ポカリスエットのようなスポ-ツドリンク、経口電解質補給剤などが効果的。発熱を伴うもの、便の色に異常のあるもの(血便、白い便)については、早めに医師の診察を受けた方がよい。また、尿の回数が3回以下になった場合も速やかに受診すること。

  • 結核

思わぬ感染を防ぐために、使用人の健康管理が必要。

  • はしか

ワクチン接種でほぼ確実に防げるので、1才を過ぎているならば、一部の例外を除き、絶対に接種を受けておくこと。

  • 結膜炎

眼球結膜(白眼)が赤くなり、目ヤニが出たりする。きれいな水で眼を洗い、抗生物質入りの目薬を1日3-4回さすこと。目やにはテイッシュなど捨てられるもので拭く。家族内感染を防ぐ為に、タオル、ハンカチなど区別して使用すること。

 

 

 

<子どもの健康管理>

康に過ごすためには日本で生活するよりさらに多くの注意が必要。それは、この国が途上国であること、高温多湿な所であること、使用人のいる生活であることなどの違いによるものである。また、赴任後は移動の疲れや新しい生活のストレスで特に体調を崩しやすくなるので、十分休息をとること。

  • 日常生活

    • 手洗い(薬用石鹸を使うと良い)、うがいをさせる。

    • 子どもの体調に気を配る(疲れ過ぎないように)。早寝、早起きをさせる。昼寝をさせるなど。

  • 衛生面

    • 哺乳瓶はもちろん、子ども用の食器なども必要に応じて煮沸する。

    • 口に入れる物、または口に入れる可能性のある物は清潔に保つ。

    • 子どもがはいはいをしている時期など、床や家具を漂白剤(クロロックス)を薄めて拭くと殺菌効果がある。

  • 食べ物、飲み物

    • 食べ物、飲み水には特に注意する。

    • ほしがっても使用人の飲食物を子どもに与えない。

    • 蠅やゴキブリで、食品が汚染されないように注意する。

    • 食品の安全性に関する情報(新聞、ニュ-ス等)に耳を傾ける。

自国で売れない物を途上国に輸出してくるケ-ス、本物そっくりの紛い品が出回るケースなどがある。

  • 屋外

    • 蚊や蟻に刺されたり、けがをしたら、とびひになったり化膿しないように早めに

   薬を塗って清潔を保つ。

  •  
    • 伝染病はペットや屋外からも感染することがあるので気をつける。

    • 外遊びの時は虫よけをつけるなどして、蚊にさされないように気をつける。

  長そで長ズボンも効果あり。

  • 衣類

洗濯して乾かしたものにハチ、蟻、カビ、寄生虫や昆虫の卵などがついていることがあるので、特に直接肌に触れる物は(肌着、おむつなど)高熱でアイロンをかけるとよい。従って綿製品が望ましい。

  • ミネラルウォ-タ-

品質管理の行き届いた店で購入し、栓、沈殿物の有無、賞味期限などチェックする。ガス入りは比較的安全。(酸性なので、ある程度の殺菌作用がある。)

  • 外食

子どものおしぼりと飲み物は持参する。香辛料を使った料理が出されたり、食事までの待ち時間が長くなったりした時のことを考えて、おにぎりやサンドイッチなどを持参するとよい。火のよく通った物を与え、なま物は与えない方がよい。飲み物を注文する場合はコカコ-ラなど有名商品が比較的安全。アイスクリ-ムについては知人にその評判を聞く等して安全性を確認して与えたほうが良い。また、レストランに蚊がいることもあるので虫よけスプレーを持って行くと良い。

  • 使用人

伝染病は使用人から感染することもあるので、身の回りを清潔に保つように指導し、年1~2回健康診断を受けさせる。子どもに接する際(遊ぶ時や食事を与える時など)の指導をする。

 

<子どもの事故対策>

日本で生活するより大きな家に住み、親でも目が行き届かない上、使用人に子どもを見てもらう時は、なおさら気付かない事も多くなる。ふだんから子どもに言い聞かすことも大切。これらは当り前の事ばかりだが、日本とは違うということを踏まえて、私達で子どもを守ろう。

  • やけど アイロン台、湯沸かし器などの置き場を考える。

  • けが ほとんどの家の床はタイルや石やセメントなので、滑ったり転んだりしやすい。カーペットを敷くなど工夫する。

  • 窒息 物を誤って飲み込む、ビニール袋をかぶる以外に、こちらでは冷蔵庫の台数が多く、子どもが入らないように注意する。

  • 中毒 薬、殺虫剤、毒性植物など、子どもの手の届かないところに片付ける。

  • 溺死 プ-ル、池、洗濯の水など5㎝溜った水でも溺れることもあり、ふだんから気をつける。大雨のあとも水がたまってないか注意する。

  • 感電 日本(100V)と違い、高圧(220-240V)なので危険。触らないように植木で隠したり、カバーをつけたりするなど工夫する。

  • 転落 ベランダや階段の柵の間隔が広いので、ロープや板を張ったり、籐のスクリーンを使ったりして転落しないようにしておく。子どもが一人で屋上やベランダに出ないようにドアにカギをかける。

  • 交通事故 ひとりで外に出さない。急にとまることも多いので、車の移動中はチャイルドシートを使うなどする。

 

 

遊び

普段日本人の子ども達は、家の中や自宅の庭、お友達の家などで遊ぶ。

室内遊びが多くなるのは、乾季以外は日差しが強い、気温が高い、天気が変わりやすいなどの天候上の理由と、広場はあっても遊具がなかったり、近所の子ども達が外国人めずらしさに大勢集まって来たり、野犬が居たりといった治安や安全上の理由によるもので、安心して自由に遊ばせることのできる場所はあまりない。それでも庭にブランコ、滑り台、砂場などを作ったり、ビニ-ルプ-ルで水浴びさせたり、ホテルやクラブ、日本人学校校庭やプールで遊ばせたりしている。過ごしやすくなる乾季(11月〜2月頃)、家族でワンダ-ランド(遊園地)や動・植物園に出かけるのも気分が変わってよい。また、外国人も多く住んでいるので、近所に一緒に遊べる年齢の外国人の子どもがいれば、こちらから声を掛けてみては。プレイグル-プに入れてみるのもよいだろう。

  • おすすめレストランの遊び場(場所、電話番号はレストランの項を参照)

  ボールプールがあったり、ジャングルジム等の遊具がある。

  FFCA&WFRIDAYKFCPIZZA HUTHALVETIA

 

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