「私の黄金のベンガル」
作:ラビンドラナート・タゴール(アジア初のノーベル文学賞受賞者)
訳:外川昌彦
私の黄金のベンガルよ、
私はあなたを愛します。
あなたの空、あなたの風は、
私の胸の中にある笛を、いつも響かせてくれます。
ああ、お母さん、早春のあなたのマンゴーの林に満ちる匂いに、
私はすっかり酔いしれています。
ああ、私は死にたいほど幸せです。
お母さん、晩秋の、あなたの一面に実った稲田に、
私は、あなたの蜜のような微笑を見つけました。
その輝く光と深い影とで織りなされた
愛情と慈しみの衣の裾を、
あなたは、バニヤン樹の根元や、川の土手から土手へと、
やさしく広げてくれました。
お母さん、あなたの語り声は、
私の耳に甘露のように響きます。
私は死にたいほどに幸せです。
お母さん、あなたのお顔が悲しみに曇れば、
ああ、私の目にも涙が溢れるでしょう。